-会山行- | |
北アルプス 蝶ケ岳・常念岳・大天井岳 |
山行期間: | 平成21年9月19日(土)~21日(月) |
交 通: | 井山車利用 |
地 図: | 槍ヶ岳・穂高岳 |
行 程: |
9月19日(土) 相模原(4:00)=豊科IC=三股P(7:30)~まめうち平(9:30)~蝶ヶ岳(12:00)~蝶ヶ岳三角点(13:30)~常念岳(17:30)~常念小屋(幕)(18:20) 9月20日(日) 常念小屋(7:10)~大天井岳(10:20) ~常念小屋(14:00)ピストン 9月21日(月) 常念小屋(5:40)~常念岳方面経由分岐(6:50)~前常念岳(7:40)~三股P(11:00)=温泉=豊科IC=相模湖IC=相模原16:30 |
概要 9月19日 AM4時に相模原を出発し、井山号は一路、豊科を目指す。ゴールデンウィークに対抗して、この9月の5連休は、シルバーウィークと言うらしい。とにかく、土日1000円の高速道路代もあり行く手に立ちはだかるであろう渋滞を気にしつつ、思いは北アルプスの山々に向かっていた。AM7:00予定より少し早く、三股駐車場に到着。登山準備を整え、AM7:30クライムオン。天候は台風からのはぐれ雲が東の空に見えるが、まずまず晴れ、気温も高くなく絶好の登山日和である。緑の樹林帯をドスドスという靴音とともに、熊除けの鈴がまるで風鈴のように響く。音といえばそれだけで、後はグリーンと少し黄色く色着いた紅葉の葉のトンネルを延々と登っていく。中間点のまめうち平にAM9:30到着。少々コースタイムを上回っているようだが、一汗かいて調子が出てきたようだ。いつも思うが登りは辛いが、気持ちが高揚しているからか頑張れるのである。「体も一種のGearだ」大切にメンテナンスし、山行を安全に成功させるために常に鍛えていなければならないと思うのである。そんなことを考えながら、登っていくといつしか緑のトンネルの樹林帯を抜ける。あと少しで目指す蝶ヶ岳山頂である。考えてみると、登攀中ほとんど眺望はなくただただ登るだけであっただけに、森林限界に達すると、「やっときたか」と思うのである。大滝山との分岐で一服し、残り50m程度を登ると、我々の眼に飛び込んできたのは、北アルプスで一際目立つ「槍ヶ岳」の雄姿であった。「槍だ」とみなが叫ぶほどその姿が神々しく見えたのである。そして、槍ヶ岳から大喰岳、中岳、南岳、大キレット、北穂高岳、奥穂高岳、前穂高岳と続く北アルプスの3000m級の山々がまるで屏風のように目の前に展開されていたのである。「登ってきてよかった」と心底思う。こんな風景は見たことはない。前年、笠ヶ岳に登ったときに、この反対側から見たのであるが、やはりあれは、後姿であって、いま我々がいる蝶ヶ岳方面から見ている光景が、正面から見た姿に思えるのである。とにかく、絶景である。蝶ヶ岳山頂到着AM12:00。記念撮影をし一同、一服していたが、よく考えて見ると、本来の計画では、本日の幕場の蝶ヶ岳ヒユッテであるが、まだまだ日も高い、更にはメンバーの体調も万全である、また常念岳の常念小屋の幕場までコースタイムも5時間である。ということで、本日中に常念小屋まで行き、明日は大天井岳にピストンという作戦が考えられないかという提案が出た。一同、異議なく一路常念小屋を目指して、PM12:30蝶ヶ岳を出発。天気は快晴。左手に、槍から穂高の山々を見ながらの快調に進む。途中、蝶槍で、道標があり山座同定。そこを過ぎると、平坦な峰歩きは終わり、下りに入る。よくよく考えると蝶ヶ岳は2667mで、常念岳は2857mである。で、二座の最低鞍部は2500m程度なので、約170m下って、360m上り返すという工程になるわけである。まあ、楽勝と思って登っていたが、そこは百名山の常念岳である。蝶ヶ岳から常念岳は思ったより遠く感じる。そして、最後の登りの150m程は、かなり垂直な岩稜が続く。また、本日はすでに10時間ほど歩いている。多少疲れも出る頃である。そんなわけで、多少ペースは落ちたが、PM17:15常念岳山頂着。日が西に傾き日暮れも近いが、槍から穂高はしっかりその雄姿を見せている。しかし、風が強い。あっという間に体温を奪っていく。山頂で写真を撮り、早々に常念小屋を目指して下山を開始する。しかし、目指す常念小屋は眼下に捕らえているが、なかなか着かない。コースタイムは45分となっているが、遠く感じる。そのうちに日没。あっという間にあたりが暗くなり、メンバーはヘッデンを頼りにもくもくと下山。PM18:20常念小屋着。幕を張り、乾杯、夕食後、PM20:30泥のように爆睡。 |
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出発前の準備 |
9月20日 やはり、メンバーの行いがいいのか、本日は東の地平線付近には雲が見えるが、快晴である。常念小屋から日の出の御来光を仰ぐ。東の雲を突き抜けて頭を出している浅間山が、頂上から噴煙を上げているのが見える。朝食の後、AM7:10本日の目的地である大天井岳に向けてクライムオン。常念小屋は標高2400m程度であるので、暫くは樹林帯を進むが、すぐに森林限界を超えて、眺望が開ける。常念乗越を越え、横道岳のあたりで振り返ると、先ほどの浅間山の右に八ヶ岳山塊、独立峰の富士山、そして甲斐駒、仙丈、北岳、間ノ岳と続く南アルプスの山塊がシルエットで展開される。さらに右を見ると、木曽駒の山塊、更には、乗鞍までが一望できる。勿論、昨日から終始我々を見守ってくれている槍・穂高の屏風のような岩稜が男性的な無骨な姿を見せている。穂高の三座が包み込むように涸沢カールを囲んでいる。そして、そこだけが岩ではなく砂のように見えてやさしく見える。そして、東天井岳に差し掛かる頃になると、燕岳が目線より低く見えている。当然、前方には右手から、鹿島槍、唐松、白馬槍(?)針ノ木岳が並んでいる。「燕、お前邪魔だよ」と思うほどである。「お前がいなけりゃもっと色々見れるのに」と贅沢な愚痴をこぼす。そして、左を見ると、槍ヶ岳も槍の穂先の右側に子槍を見せるようになる。当然、北鎌の粗いのこぎりの歯のように峰がはっきりと見える。まさに絶景である。言葉は本当に無力だと思う。そして、AM10:20大天井岳到着。山頂では今まで書いてきた山々以外に、眼下に見える高瀬ダム湖を挟んで、右に針の木岳、左に烏帽子岳が見える。しかし、その後方に控えるのが浄土山、雄山、大汝山、富士ノ折立、別山と続く立山連邦、そして剣岳の雄姿である。そして、烏帽子岳から続く裏銀座コースの野口五郎岳、鷲羽岳、水晶岳が、槍・穂高の灰色の岩稜と違って、緑を基調にしたやさしいたたずまいで、一種女性的に見えるのは私だけだろうか?そんな至福の時間を20分ほど味わい、大天井ヒュッテで休憩と少々早いが昼食を摂り、AM11:30に常念小屋に出発した。帰りは、右手に槍・穂高を従えて、悠々とした峰歩きである。途中、往路では巻いてしまった横道岳に登り、偶然、雷鳥に出会う。横道岳の山頂に着くと、いつしか安曇野の里を覆っていた雲も晴れ、収穫間近い稲穂が里全体を黄金色に輝かせている。なんと、山だけでなく下界の里まで美しい。なんという山行であろう。天候は穏やかで、すべてのものが美しく、自然が微笑んでいる。「山をやってよかった」と心底思う瞬間であった。そんな横道岳を後に、PM13:50常念小屋の幕場に着いた。後は、皆でビールで乾杯。ひとしきり宴会で盛り上がり、夕食。PM18:00就寝。(野澤だけかもしれないが) |
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大天井岳(2922m) | 雷鳥(横通岳すぐ下) |
9月21日 AM4:00起床。朝食後、AM5:40発。一昨日降りてきた常念岳を一旦登り返す。朝一の急登はきつい。ましてや、昨日はほぼ空身で歩いていたが、今日はフル装備である。そんなこともあり2400mから2800m近辺の前常念岳までの分岐までハアハア言いながら登る。出発時に500ccもあれば足りると思っていたが、水分をどんどん取らないと厳しい。山頂近くの分岐に着くまでには、あっという間に、500ccの水がなくなっていた。勿論、予備は持っていたので以降の水はOKだったが、きつい登りであった。でも、槍・穂高は見納めかと思うと少し寂しい。「また、来年来る」と心で約束し、下山を急ぐ。なにしろ、今日は連休の中間日で、午後からの大渋滞が予想されていたからである。しかし、常念岳から前常念岳にかけては岩稜帯で、それなりに注意しての下山である。しかも、浮石も多く落石の危険もある。そういうこともあり、この岩稜帯を抜けるのに2時間を要した。そして、森林限界を過ぎて、樹林帯に入ると、快調な下りとなった。井山SLが先導して、走るように下山。AM11:00には三股の駐車場に到着。AM12:30には豊科インターに入り、PM16:30には、相模原着。清算後解散となった。 |
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カエデの紅葉(前常念下) |
総括 今回の山行は、初日に蝶ヶ岳から常念岳まで一気に走破してしまったことが、その後の大天井岳にまで足を伸ばすことができた要因である。それもこれも、第一に天候がよかったこと、第二にメンバーの状態がよかったこと、第三に槍・穂高が見守ってくれていたこと(?)の各要因が重なり、ほぼ常念岳に定着で行動がとれたことが、勝因である。とにかく、秋に3日の晴れなしといわれるが、3日間とも快晴に恵まれた幸運が生んだ山行であった。 |