◆白山山脈(おいずる)() (たけ)

期  日:平成26年5月7(水)~9日(金)  (晴)

メンバー:Fさん(友人)、mt_kawani

行  程:

5月7日 

相模原出発7:00高尾山IC=中央道土岐JCT=東海環状道美濃関JCT=東海北陸道白鳥IC=油坂峠道路

白鳥西IC=158号=越前大野=157号=手取 川ダム=360号=15:30中宮温泉ビジターセンター・・・

ジライ谷まで下見中宮温泉「にしやま旅館」に泊まる。

5月8日

中宮温泉ビジターセンター(登山口)発4:00--ジライ谷4:30--大岩5:25—1250m6:05~20—山毛欅尾山分岐7:30--

冬瓜山8:15~35--シリタカ山9:15~20--笈ヶ岳11:20~55—シリタカ山鞍部13:05~15--冬瓜平--山毛欅尾山

14:30~40—ジライ谷17:35—18:00中宮温泉ビジターセンター駐車場(自然保護センター)中宮温泉入浴19:20==

帰路へ・・・往路と同じルートで・・・⇒相模原自宅5/9 5:30

  十数年前に雑誌で知って以来興味をもっていたが、遠方でもあるし其の儘後回しになっていた。ところ

が、昨年、福薗さんから興味がることを知らされて意欲が蘇ってきた。5月も真近い時期であったので、

今年に目標を定めていた次第である。登山の適期は5月連休前後となっていたので、GW明けを狙って

計画したところ、直前の現地情報では今年は例年より雪が少ないとのこと、遅きに失したかなと危惧し

たが、来年まで待つとどうなることやも知れず決行した。前夜(7日)は駐車場泊でも可能であったが、

高齢者ゆえ明日の長丁場を考慮して中宮温泉に泊まり英気を養った。

■《(おいずる)ヶ岳》 

 

笈は書物や衣類などを入れて負う箱のことだが、とりわけ、修験者が仏具などを入れて背負う箱や籠を意味することが多い。笈ヶ岳は、笈を背負った修験者が登る山、あるいは、そのような姿を連想させることから名付けられたという。古くは、加賀で「笈釣山」、また、飛騨では「笈摺」と書いたと地誌にある。今でも笈(おい)を「おいずる」と読ませるのは、その名残だろう (週間続日本百名山・朝日新聞社刊・赤地活喜氏の文より)

深田久弥著「日本百名山」の後記に北陸では白山山脈の笈ヶ岳か大笠山を是非入れるつもりであった。これは私のふるさとの山としての身贔屓ばかりでなく、こんな隠れた立派な山があることを世に吹聴したかった。しかしまだ登頂の機会を得ないので遺憾にも割愛したとある。

中宮温泉ビジターセンター:R360白山スーパー林道ゲート手前の登山口、

建物左の蛇谷自然観察路から入っていく。7日、ジライ谷渡渉地まで偵察に行ってきた。ニリンソウ、イチリ

ンソウ、ヒトリシズカやキケマン、ラショウモンカズラ等の野草が咲いていたが、カタクリ群落箇所の花はも

う終わっていた。

こんなトンネルを抜ける:(前日撮影)

こんなカルバートの中も通過していく:(前日撮影)右下は尾添川と白山スーパー林道。途中で下山者に出合って種々情報を得ると明日は充分登れそうで安心した。

★ジライ谷渡渉(下山時撮影):飛び石で何とか渡れた。朝より少し増水していた。今日は気温が高く雪解けによるもので

あろうか。 渡って4時30分、谷沿いに左上へ登っていく。いきなり急峻な登りとなっていく。

★攀じ登る箇所が多い:要所にはロープが張られてはいるが息を抜けない。ミツバツツジが

咲いて いるけれど楽しむ余裕はない。殆ど前面の岩角や両側の灌木・枝を掴みながら登っていく。

★大岩:此処で5時25分だ。左から廻り込んでいく、いくらか楽になるがまだまだ急登が続く。

★コブシ咲く(6分咲き):これでいくぶん気分が和む

★1250Pで休憩(6時):1200Pで漸く()()()(やま)からの尾根が見えてきた。

( そして冬瓜山(かもうりやま)とさらに右方にシリタカ山を望めた)()()()

()

★山毛欅尾山からの尾根合流まで、カタクリ、イワウチワが点々と観られる。

特にイワウチワが色濃く美しい。

1250P1400Pの尾根は、かくの如く藪多し:ちゃんと登山道はないのだが、尾根を外さなければ人跡に導かれ

る感じである。

雪面となってきた:雪解けで枝が持ち上がって花をつけてきたマンサク。

★霊峰白山だ!:1400P辺りで漸く全貌を現わしてくれた。

★雪稜となる:山毛欅尾山からの尾根に合流して、冬瓜山へ向かう。

合流点へ赤布を付けてきた。(別のテープが近くにあったけど)下山時、位置は分かったが方向を見失って些か慌てた

がコンパスで確認して修正できた)

白山の雄姿は消えず:当初は冬瓜山への登りはじめ1500P付近から、冬瓜平へ下りてシリタカ山鞍部へトラバースするルートを往復予定であったが、先行者(ソロ)が行ったようなので、迷った末に我々も冬瓜山~シリタカ山を経る稜線上を行くことにした。

*冬瓜山はナイフリッジ等の難所があり、雪が消えてくると危険だと言われている。

高度を上げる:雪解けで藪となってくる。

藪の登高:全くのヤブ、最初はこれではイカン、どうしょうか?と思ったが、掻き分けながら足元をよく

見ると踏み跡らしきものが続いていた。

こんな垂直な登りも:ただ、枝や木の根のホールドは豊富である。

藪を抜けて冬瓜山の頂部へ登り着く:

憧れの笈ヶ岳が現れる:右のコブが小笈である。

ナイフィリッジにはもう雪は全くない:渡ると直ぐ冬瓜山の頂上で三角点がある。狭い山頂だが展望は抜群

である。

冬瓜山の下りからシリタカ山への尾根と笈ヶ岳

先行者(ソロ)あり、この先で入れ替わる(県境尾根トラバースで彼ももたついて山頂到達は我等の後塵を

拝す・・・ただし、下山は抜かれて25分程の差がでる駐車場で会う)

シリタカ山頂:白山をバックにFさん

シリタカ山頂:笈ヶ岳をバックにmt_kawani

★また藪が出る:

最低鞍部:シリタカ山を振り返る。帰りは登り返して次の小鞍部が冬瓜平へのトラバース起点だ。間違って、

ここの鞍部から下ると大変だ!右へトラバースするトレースがあったが採用せず。

県境尾根の岩峰:雪の上から藪を突破して直上すると岩峰へ突き当たった。左右とも大藪で進めず。アイゼン

装着して、左側の雪斜面を降りて左へトラバースして稜線(県境)へ抜けた。

テープがあっても雪解けで木が立ち上がり藪になって、ルート変更を余儀なくされるので注意が必要である。

此処で30分はロスした。

振り返ればシリタカ山と霊峰白山

★県境尾根際の藪(下山時振り返り撮影):

トラバースして急登すると突き当たる、背丈超えの笹藪を抜けると県境尾根だ。

★小笈への登り:県境尾根は雪稜。

笈ヶ岳小笈を越えると山頂はもう目の前だ!狭い頂上で雪はない。

山頂より登ってきた尾根と奥に白山連峰のパノラマ。

★山頂の喜び:念願の山頂を踏む。360度の展開、、加賀、越前、飛騨の山々の大展望に感激!

登った尾根を俯瞰する:鋭峰の冬瓜山が印象的

冬瓜平へ下る:降る鞍部にはテープがあった。下で少し登りもある尾根際をトラバースしていく。左急斜面からの落石や雪塊崩落に注意を要する。

*登ってきた尾根合流点へコンパスを合わせる。

冬瓜平から笈ヶ岳を振り返る:ダケカンバの巨木が光る、幕営適地である。

当初計画は幕営予定であった。左は大笠山(1821.8m)

尾根にもどる合流点は藪になっていて分かり難い。

コブシ:グンと咲いてきた。降りもあと僅かだ、頑張ろう!

★降りも厳しい:木にぶら下がり、枝を掴んで下りる。

◆露天風呂(源泉かけ流し):《泰澄大師が見出した白山の秘湯中宮温泉、別名「鳩の湯」とも「胃腸の湯」「美肌の湯」ともいわれ、開湯は千三百余年前の奈良時代の末》・・・で入浴、さっぱりとして帰路へつく。

朝4時に出発して18時に下山、14時間の行程であった。

息を切らさない、心拍数を上げないマイペースの歩きに努めたので、身体全体の疲労感はそんなには酷く

なかったが、やはり長時間の歩きで足と膝への負担は大きかったし、脚が攣りそうになったことも数度あ

った。元々バランスが悪くなっている高齢者なので最後の急峻な降りは充分気を配った。

冬瓜山の難所の尾根を避け、安全に冬瓜平経由で往復する予定であったが思いきって尾根を登って良かった。

そして天気にも恵まれ、念願の笈ケ岳に登れ、今ひたひたとその満足感に浸っている。

記:mt_kawani